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労工退休金条例施行細則の改正~旧退職金制度対象者の自己拠出について~

2026-09-23 00:00:00

人事労務コラム

台湾には法定の労働者退職金制度として、旧制度(労働基準法)と新制度(労工退休金条例)があります。それぞれの制度は以下の特徴があります。

・旧制度 確定給付型
労働基準法の退職要件を満たした場合、勤続年数および退職時の平均賃金に基づき、法定の計算式で退職金が算定される。

・新制度 確定拠出型
毎月の拠出(企業:義務、個人:任意)額が満60歳以降に請求できる。

※すべての外国人労働者が一律に同じ制度の適用を受けるわけではなく、在留資格、就労資格、採用時期等により適用が変わります。

労働部は2026年7月15日、「労工退休金条例施行細則」第21条の2から第21条の4の改正を公布し、2026年7月17日から、旧制度のみが適用される労働者(以下「純旧制度労働者」)についても、労工保険局の個人専用口座への自己拠出が可能となりました。これを受け、新旧退職金制度の主な違いを下表に示します。

項目 旧制度 新制度
根拠法令 労働基準法 労工退休金条例
拠出口座 雇用者の専用口座(台湾銀行) 労工保険局の個人専用口座
ポータビリティ なし(同一企業のみ) あり(転職後も累積)
雇用者拠出 月給の2~15% 月給の約6%以上
自己拠出 月給の6%以内(今回の変更) 月給の6%以内

旧制度対象者の自己拠出制度は、老後資金の蓄積と税制上の優遇措置を提供するため、以下の仕組みが整備されました。

1. 個人口座への自己拠出

純旧制度労働者も、雇用者を通じて労工保険局に申告することにより、月給の6%以内で個人専用口座へ自己拠出できます。雇用者は、労働者から自己拠出の申告を受けた場合、申告を拒むことはできません。

自己拠出額は、拠出年度の所得控除対象となり、節税効果が得られます。

2. 退職金の事前清算と一括移転

自己拠出を行っている純旧制度労働者が、労働基準法の自発的退職要件(※1)を満たした場合、在職中であっても、労使双方の合意(※2)により旧制度の退職金を前倒しで精算できます。精算した退職金は、その全額を台湾銀行から労工保険局の指定口座を経由し、労働者の個人専用口座へ移転する必要があり、移転後は基金の運用収益の分配および最低保証収益の対象となり、原則として満60歳以降に請求できます。

※1 「勤続15年以上かつ満55歳以上」 or 「勤続25年以上」 or 「勤続10年以上かつ満60歳以上」

※2 労働者からの申請があっても、使用者に承諾義務はなく、同意しなくても罰則はありません。

3. 労働権益の継続保障

前倒し精算を行っても労働契約は終了せず、有給休暇の起算年数等は入社日から継続して計算されます。また、精算後の継続勤務により生じる旧制度の勤続年数については、労働契約が法令に基づき終了した際、雇用者が退職金を算定する必要があります。労使双方は、当該継続勤続年数分の退職金を毎年合意により精算し、個人専用口座へ全額移転することもできます。

本制度により、純旧制度労働者は、旧制度の枠組みを維持したまま、自己拠出額および前倒し精算により移転された退職金について、新制度の運用益や節税メリットを享受することが可能になりました。

自己拠出を希望する対象社員は、雇用者にその旨を申し出て、雇用者から労工保険局へ申告します。前倒し精算を行う場合は、これとは別に、法人所在地の当局へ必要な手続を行います。

 

新制度に関するアドバイス

新制度の施行にあたり、以下の3つのステップに沿って順を追って対応することをお勧めします。

ステップ1:社内の旧制労働者名簿の棚卸し及び準備金残高の確認

在職中の純旧制労働者の名簿、勤続年数、既に積み立てられた退職金の基数、及び自己都合退職資格の有無を確認します。同時に、台湾銀行の労働者退職準備金専用口座の残高を確認し、労働者が早期精算を申請した場合に口座資金が十分であるかを確認します。

ステップ2:任意積立に関する事務手続き及び申告フローの構築

純旧制労働者に任意積立の意向がある場合、人事部門は社内申請書を準備し、労働保険局の「労働者退職金積立申告書」を用いて申告を完了させ、給与計算業務においても毎月の天引き額を調整する必要があります。

ステップ3:「書面合意書」の整備及び資金拠出承認手続きの完了

労使双方が早期精算に合意した場合、双方は旧制勤続年数に係る退職金の早期精算に関する書面合意書を締結し、基数の計算方法、精算金額、及び労働保険局専用口座への移管に関する取り決めを明記する必要があります。その後、所定の手続きに従い、会社の「労働者退職準備金監督委員会」による審査及び捺印を経て、台湾銀行に対し労働保険局専用口座への資金拠出を申請します。

今回の法改正は、使用者に新制度の6%負担を追加させることなく、労使双方に退職金計画を柔軟に活用できる余地を与えるものです。各社とも、コンプライアンスの原則に基づき適切な計画を策定し、労使関係の調和と会社の財務健全性の両立に努められることをお勧めします。

 

台湾労働部 2026年7月15日公表資料

https://www.mol.gov.tw/1607/1632/1633/95515/post