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ハラスメント防止法施行後に企業が備えるべきこと~「虚偽の申立」への対応も制度設計が重要~

2026-09-23 00:00:00

人事労務コラム

台湾では職業安全衛生法の改正により、企業にはハラスメント申立窓口の設置や、公正な調査の実施等が義務付けられました。

制度が整備されることで、安心して相談できる環境づくりが進む一方、企業からは次のような声も聞かれます。

「もし悪意を持って事実と異なるハラスメント申立が行われた場合、会社はどのように対応すればよいのか。」

実際には、この制度は正当な申立を保護することを目的としており、虚偽や捏造による申立まで保護するものではありません。

そのため、企業には被害者を守る体制だけでなく、公正な調査を通じて事実を確認し、虚偽の申立にも適切に対応できる仕組みを整備しておくことが推奨されます。

ハラスメント案件は、証拠が少なく当事者同士の主張が対立するケースも少なくありません。そのため、最も重要なのは「最初から誰かを信じること」ではなく、中立的な立場で事実確認を行うことです。

企業としては、次のような運用フローを事前に整備しておくことをお勧めします。

 

■ 申立成立後は速やかに調査を開始

申立が成立となった際は、感情的な判断を避け、客観的な事実確認を行います。

例えば、

・メール・チャット履歴

・勤怠記録

・会議記録

・防犯カメラ

・第三者へのヒアリング

等、多面的に証拠を収集することが重要です。

 

■ 調査は「公平・中立」が原則

調査担当者は、申立者・被申立者の双方から十分に事情を聴取し、公平な判断を行う必要があります。また、100人規模以上の企業では、外部専門家を含めた調査体制が必要となります。

第三者が関与することで、

・調査の公平性・公正性

・判断の客観性

・後日の紛争防止

につながります。

 

■ 調査結果は必ず文書化する

調査終了後は、

・申立案件の基本情報

・申立案件の概要

・調査・ヒアリングの経緯

・当事者および関係者の陳述内容の要点

・事実認定およびその理由

・対応に関する提言

等を調査報告書として残します。

この記録は、行政対応だけでなく、万が一争議になった場合にも重要な資料となります。

 

■ 就業規則にも明確なルールを設ける

見落とされがちですが、企業が最も準備しておきたいのが就業規則です。

ハラスメント防止規程には、

・虚偽申立

・故意の捏造

・嫌がらせ目的の通報

について、会社が懲戒対象とできることを明確に定めておくことが望まれます。もちろん、申立が認められなかっただけで直ちに「虚偽」と判断することはできません。

故意に事実を捏造したことが客観的に認められる場合に限り、就業規則に基づき適切な懲戒を検討することが重要です。

悪意による虚偽申立が客観的な調査によって認定された場合には、

・就業規則に基づく懲戒処分

・必要に応じた法的対応(民事・刑事)

を検討できる場合があります。ただし、これらはあくまで十分な事実確認を前提として慎重に判断すべきものであり、「申立が認められなかった=虚偽」と短絡的に結論づけることは避けなければなりません。

ハラスメント防止制度は、「申立を増やす制度」ではなく、「安心して働ける職場をつくる制度」です。

そのためには、

・被害を受けた社員が安心して相談できる環境

・訴えられた社員の権利も適切に守る仕組み

・公平で透明性の高い調査プロセス

この3つのバランスを取ることが重要です。

制度が適切に運用されることで、本来守るべき従業員を守りながら、企業への信頼向上にもつながります。

 

Pasona Taiwanでは、台湾の最新法令に対応した

・ハラスメント防止規程の整備

・就業規則の改訂支援

・社内申立制度の構築

・調査フロー・運用マニュアルの作成

・管理職向け研修・社内セミナー

等、企業の実務運用をトータルでサポートしています。制度改正への対応や社内ルールの見直しをご検討の際は、お気軽にご相談ください。