従業員が喜ぶ福利厚生の1つとして、常に上位にランクインするのが社員旅行(員工旅遊)です。
毎年秋以降に社員旅行を実施・計画される企業様も多いかと存じます。
今回は、台湾における最新の旅行動向や、社員旅行の一般的な実態についてご紹介します。
1. 統計から見る台湾人の非常に高い海外旅行需要
台湾交通部(交通省)観光署が公開した2025年の統計資料によると、台湾人の年間海外渡航者数は延べ1,894万人を記録し、コロナ前の2019年(約1,710万人)を上回って過去最多となりました。
台湾の人口(約2,300万人)から換算すると、およそ「10人に8人が海外旅行に行った」計算となります。年に複数回渡航するリピーターも含まれるため、全員が渡航したわけではありませんが、社会全体として非常に高い頻度で海外へ出かけていることが分かります。なお、渡航先としては日本が約673万人(全体の約35.6%)と圧倒的な首位です。
一方、同期間の日本政府観光局の発表によると、日本人の海外渡航者数は延べ約1,473万人でした。人口が日本の約5分の1である台湾ですが、渡航者の絶対数において日本を上回っており、台湾市場における旅行熱の高さがうかがえます。
2. 台湾における社員旅行の運用実態
台湾の企業における社員旅行は、日本のイメージとは少々異なる特徴や工夫が見られます。
【対象者】
参加者を社員限定とする企業もありますが、社員の家族・親族をはじめ、中には友人や恋人の同行を認める企業もあります。 社内の親睦深化はもちろんですが、台湾系企業では「大切な人を会社の同僚に紹介できる機会」として、プライベートの延長線上でポジティブに捉える人が多いのも特徴です。
【補助額】
パソナ台湾の独自調査によると、旅費全額を支給する企業もある一方、一般的な平均補助額は以下のとおりです。
・日系企業(全業種平均):22,967元※
・台湾系・欧米系企業:11,212元※
※各年の業績に応じて変動します。
【休暇の取扱い】
主に以下の3パターンに大別されますが、個人の休暇を活用して参加するケースが比較的多く見られます。
1. 個人の休暇(有給休暇・私用休暇)を使用
2. 平日は勤務日扱い(不参加の場合は通常出勤)
3. 社員旅行用の特別休暇を別途支給
なお、育児や介護等、家庭の事情で遠出が難しい社員への公平性を保つため、旅行に参加しない(できない)社員へ直接「旅行補助金」を給付する対応をとる企業もあります。
【企画・決定方法】
社内投票で決定するほか、部署横断の「社員旅行企画チーム」を発足させて進める企業も多く、企画プロセス自体がチームビルディングの役割を果たしています。
1. 人気の行先と最新トレンド
■ 国内旅行
・東部(宜蘭・花蓮・台東):公共交通機関ではアクセスしにくい景勝地を貸切バスで巡るコースが人気。
・中部(日月潭):台湾最大の淡水湖。深緑色の美しい湖面が人々を魅了。
・南部(墾丁):「台湾のハワイ」と称されるリゾート地。
・離島(澎湖):台北から飛行機で1時間弱と好アクセスな人気離島。
【最新トレンド】
台湾大手の旅行会社によると、大手企業の社員旅行は従来の「バスで観光地を巡るスタイル」から、「特別感(プレミアム感)」「チームビルディング」「ESG/SDGsへの貢献」を重視する傾向へ変化しています。特に、豪華観光列車を1編成丸ごと貸し切る(包車)「鉄道スロー旅(鐵道慢旅)」等、移動時間そのものを体験型イベントに仕立てるスタイルが注目を集めています。
■ 海外旅行(台湾人の全体傾向)
・日本:観光・グルメ・ショッピングのバランスが良く、治安の良さも魅力。近年は定番のゴールデンルート(東京・大阪等)に加え、地方都市(四国・中国・東北・九州等)でのローカル体験や自然を楽しむニーズが大幅に高まっています。
・オーストラリア・ニュージーランド:直行便の増便(所要8~9時間)に伴い、自然志向の需要を獲得。
・タイ:交通の便の良さ、マッサージ、夜市、リーズナブルな高級ホテル等、コスパの高さが定評。
・ベトナム:物価の安さとリゾート感から、近年急速に人気が上昇。
日本の社員旅行では「プライベートの時間を拘束される」と心理的ハードルを感じるケースもありますが、台湾では「会社が手厚く補助してくれるのだから、みんなで賑やかに楽しもう!」という、合理性とアットホームさがバランスよく融合したポジティブな文化が根付いています。
今後の福利厚生制度の設計や、社員旅行の企画・見直しを進める際の参考にしていただければ幸いです。