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台湾で人材の希望給与が既存賃金テーブルを超える場合に実務的に使われる4つの手法

2026-04-08 00:00:00

人事労務コラム

採用市場が売り手優位となっている台湾では、「採用したい人材の希望給与が、既存社員の水準を上回っている」というケースが珍しくありません。一方で、既存社員との給与逆転、社内不公平感、後々の人事トラブルを避けるため、単純に基本給を引き上げることはリスクが高いのも事実です。

既存社員との整合性を保ちながら、候補者にも納得してもらいやすい台湾で実際によく使われている現実的な手法をご紹介します。

① 入社ボーナス(Sign-on Bonus)の活用

最も一般的かつ説明しやすい方法です。基本給は社内制度・既存社員のレンジ内に抑えつつ、条件付きの可変部分で希望年収に近づける設計を行います。即戦力人材だが長期定着が未知数な場合、実務上よく採用される手法です。

年収分解の構成例

  • 月給:既存社員レンジ内
  • 固定賞与:保証1~2か月
  • 変動賞与:KPI・業績連動
  • 入社ボーナス(Sign-on Bonus):一時金

具体例

  • 候補者希望年収:150万元
  • 社内予算条件:月給9万元+固定賞与2か月+α

想定オファー例

  • 月給:9万元 × 14か月 = 年126万元
  • 業績賞与(目標達成時):10万元
  • 入社ボーナス(一時金):14万元

→ 初年度総年収で希望水準に近づけつつ、基本給の恒常的な逆転を回避できます。

実務上のポイント

  • 支給タイミング:入社時または試用期間終了後
  • 金額目安:月給1~3か月分
  • 追加条項:在籍義務期間(一般的に12か月)、途中退職時の返還条件(比例返還等)

※台湾の労働基準法上、入社ボーナスは「賞与」ではなく契約上の給付扱いとなるため、オファーレター/雇用契約書への返還条件明記を推奨します。

※内定者のみに特別なボーナスが支払われることを既存社員が知った場合、不平不満が募る可能性があります。内定者の雇用契約上で「自身の給与条件を社内で口外しない」旨を明記する工夫も実務上よく用いられます。

② 試用期間後の昇給・再調整を明文化

台湾では、特にミドル~ハイクラス層において「試用期間後の給与見直し」は比較的受け入れられやすい傾向があります。

オファー時の文言例

「試用期間終了後、業務成果および目標達成を条件として、基本給の再調整を実施します。」

ポイント

  • 「約束はするが条件付きで、自動昇給ではない」という表現
  • 評価条件・時期を明確に記載
  • 曖昧な口約束は避け、書面で明文化

③ 職位・等級を既存社員と切り分ける

社内トラブルで最も多いのが、「同じ仕事・同じ職位なのに給与が高い」というケースです。そのため、役割・期待値の違いが分かる職位設計が重要になります。

  • 既存社員:Senior Specialist
  • 内定者:Lead / Principal / Expert

職位名や社内のレポートラインを変えることで、「給与差=役割差」として社内説明がしやすくなります。

④ 給与以外の条件を厚くする

給与調整に限界がある場合は、実質的な可処分価値・働きやすさを高める条件設計も有効です。

  • 在宅勤務、フレックスタイム制度の導入
  • 年次有給休暇の優遇付与
  • 資格取得・スキルアップ補助
  • 海外案件・グローバルプロジェクト機会の提供
  • 通勤手当、住宅手当等の手当充実