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人事管理制度における”賃金制度”の概要

2024-08-20 00:00:00

人事労務コラム

企業経営に必要な人事管理制度は、幾つかの要素に分けて考えることができます。
今回は「賃金制度」の概要を共有します。

 

重要な点として、先ず職責の軽重に基づき等級が定められ(等級制度)、賃金制度はその等級に対して策定されます。
賃金制度の代表的なイメージとして賃金テーブル(※1)がありますが、これは各等級に対して設定された賃金幅、中央値、重複を俯瞰することで形を成すものです。
賃金テーブル構築に不可欠な前述の3要素(※2)について説明します。

 

(1)賃金幅
  各等級賃金の「上限値」から「下限値」までの幅です。
  等級毎の賃金幅は、下位等級では狭く、上位等級では広くなります。
  大卒新入社員の賃金は概ね同一であるのに対して、管理職以上では賃金差が拡大しますが、この原則に準じた合理的な対応です。
(2)中間差
  各等級賃金の中央値を比較した差異です。
  上位等級の方が中間差は大きくなるため、隣接等級の中間差を繋ぐ線は、二次曲線で立ち上がります。
(3)重複
  多くの場合、隣接等級の賃金幅は重複していますが、その割合は一定ではありません。
特に職責の軽重差が比較的大きい「管理職」と「非管理職」を比較した場合、賃金重複が若干小さくなることも合理的と考えられます。

 

※1 賃金テーブルのイメージ図


※2 賃金策定に必要な3要素のイメージ図


なお、賃金テーブルの構築には、市場賃金相場の把握が不可欠です。
主任○○元、課長○○元というデータが散見されますが、職名の定義は事業法人毎に異なるため、利用に際しては注意が必要です。
労働の対価は職責の軽重に応じたものであり、多くの場合、職務分析を実施して理に適った賃金額を策定しています。
また、実際の市場賃金状況に対して自社の賃金方針(高め/低め)を定め、採用と安定雇用に有益な賃金テーブルを策定することが、人事予算の有効活用につながります。