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通常解雇に伴い雇用者が支給すべき金銭

2024-05-21 00:00:00

人事労務トピック

雇用契約の終止には様々な形があり、解雇もその1つです。
台湾での解雇には通常解雇と懲戒解雇があり、前者の実施に際しては、対象者への予告や解雇金の支給が必要です。
今回は、通常解雇に際して雇用者が最低限支給しなければならない金銭をご案内します。

 

1.予告期間の賃金
 通常解雇に際しては、以下の予告期間が必要です。

  • 勤務3か月以上1年未満の場合、10日前に予告。
  • 勤務1年以上3年未満の場合、20日前に予告。
  • 勤務3年以上の場合、30日前に予告。

 予告と同時に出勤停止する場合も、当該期間の賃金支給は必要であり、これが通称"予告金"と表現される場合もあります。

 

2.求職休暇中の賃金
 解雇を告知した後、対象者には2日/週の求職休暇(中国語:謀職假)取得権があります。
 これは有給の休暇であり、対象者が取得する場合、雇用者は賃金を全額支給します。
 なお、年次有給休暇とは異なり、未取得であっても買取は不要です。

 

3.解雇金
 対象者が加入する退職金制度により適用法令が異なります。
 「労働基準法」と「労工退休金条例」がともに支給基準を規定し、且つ、それらの内容が全く異なるため、非常に注意が必要な項目です。

 (1)旧退職金制度加入者には労働基準法を適用。
  算出方法は「平均賃金*勤務年数」と規定されています。
  (例)平均賃金100,000元、勤続20年の社員に対する試算
    100,000元*20年=2,000,000元
 (2)新退職金制度加入者には労工退休金条例を適用。
  算出方法は「平均賃金*0.5*勤務年数」であり、
  最大6か月分の平均賃金支給という上限が規定されています。
  (例)平均賃金100,000元、勤続20年の社員に対する試算
    100,000元*0.5*20年=1,000,000元 但し上限6か月分を適用し600,000元

 

試用期間後の通常解雇等、雇用開始から短期間での解雇にも上述の手順が適用されます。
また、冒頭に述べたように、これらは最低限の支給項目であり、
雇用契約の終止背景による副次的な金銭支給も検討が必要であるため、慎重な対応が求められます。