企業経営に必要な人事管理制度は、幾つかの要素に分けて考えることができます。
今回は「等級制度」の概要を共有します。
等級制度を策定することは、負担する職責の重さを基に階層を設けることを意味します。
建物の階段と同様に、段数と各段の高低差に着目して設計します。
(1)等級数
企業規模や業種により最適解は異なりますが、50人前後の法人では、6段階~10段階の等級を設定している状況が多く見られます。
この等級数は、事業計画に基づく人員増を想定し、将来的な人員配置に対応可能なものであることが重要です。
(2)等級差
建物の階段は各段が等しい高低差になるよう設計され、安全に歩行できます。
これに対し、社内の階段である等級は、差異が一定でない場合が多く、特に「管理職」と「非管理職」の境には、比較的大きな段差があります。
これは「評価者」と「被評価者」として立場が異なるため、担う職責の軽重に差があるためです。
等級の高低を定める要素には、「有すべき能力」のレベルや、「担うべき職責」の軽重があります。
有すべき能力として着目すべきは、各企業が独自の価値観に基づいて社員に求める(≒報酬対象と見なす)知識や技術です。
また、担うべき職責の軽重には、決裁範囲や結果責任が挙げられます。
これら複数の要素を選定し、各要素のレベルを設定して複合的に組み合わせることで、各等級の定義を設計することができます。
且つ、等級間の差異が明確になるため、具体的な賃金差も設定可能となります。
なお、課長や部長、経理や協理、という職名は各社で定義が異なるため、職名のみを基にした賃金策定は合理的と言えません。
重視すべきは各等級の定義を策定することであり、その後に職名をご検討いただくのが良いでしょう。