近年、台湾系企業の給与水準が上昇傾向にある中で、依然として日系企業への就職を希望する人材は、日系企業に対してどのような魅力を感じているのでしょうか。弊社に登録している人材からのリアルな声をご紹介します。
1.安定した経営と信頼性
日系企業は長期的な視野で安定的な経営を行っているイメージがあります。これにより、従業員のロイヤリティが高まり、安心して長期的に働ける職場として評価されています。給与は低くても将来の安定性を考えて日系企業を選ぶという声もありました。
また、日系企業は労働基準法に準じて運営されているイメージがあり、家族や両親から良い印象を持たれることがあります。
2.働きやすい職場文化
台湾系企業の職場はどちらかといえば個人主義のイメージがあります。個人の成果が重視されるので競争も厳しく、人間関係も難しくなりがちです。一方、日系企業の文化は、従業員を大切にし、協調性を重視している印象があり、台湾人にとっても、和やかな職場環境は魅力的です。
3.教育、研修制度の充実
日本では新卒一括で採用した上で教育を施して一人前の従業員に育成していくというスタイルが一般的です。そのため日系企業では、教育や研修制度が整っている場合が多く、スキルアップの機会が豊富です。台湾では、キャリアを積むために自己成長やスキルの向上が非常に重要と考えられており、日系企業で働くことで専門的な知識や技術を学び、成長できると感じる人が多いようです。丁寧なOJT制度があることがオファーを受けるきっかけとなったという声もありました。
4.グローバルなキャリアの機会
日系企業は自動車、家電、電子部品、金融、商社等、さまざまな業界で世界中に展開しており、海外でのキャリア形成において多くのチャンスを提供しています。半導体分野では台湾系企業が強い影響力を持っていますが、世界進出の「広がり」や「業種の多様性」という点では、日系企業も決して引けを取りません。台湾人にとって、日系企業での勤務経験は、日本のみならず他国とのビジネスにおいても大きな価値を持ち、異文化理解や国際的な視野を養う絶好の機会となります。グローバルな環境で活躍したい人にとって、日系企業はその第一歩として魅力的な選択肢といえるでしょう。
5.雇用の安定
日本の人事慣行では、雇用の継続が前提とされており、たとえ目に見える成果が出なかったとしても、努力した分は会社に評価され、簡単に解雇されることは少ないという印象があります。近年では、グローバル競争や労働市場の変化に伴い、日系企業も徐々に成果主義や能力主義へとシフトしつつありますが、それでもなお従業員の忠誠心や長期的な貢献、組織への適応力といった定性的な要素が重視される傾向が根強く残っています。このような雇用の安定性は、台湾人に心理的な安心感を与え、長期的な視点でスキルを磨いたり、組織への信頼関係を築くための土壌を提供しています。
人材の売り手市場が続く中、優れた人材を確保する為には、日系企業の魅力を人材に的確かつ魅力的に伝えることが不可欠です。面談の場では、上述したポイントを戦略的に活用し、日系企業ならではの強みや働く価値を具体的な事例や実体験を交えて伝え、人材の関心と共感を効果的に引き出しましょう。企業の姿勢やビジョンがしっかり伝われば、入社意欲の向上にもつながるでしょう。