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職業安全衛生法の大幅改正~パワハラ防止の法制化~

2026-01-12 00:00:00

人事労務コラム

立法院は2025年12月、職業安全衛生法の改正案を可決しました。今回の改正では主に「労働安全対策の全面的強化」及び「パワーハラスメント防止の法制化」を目的に、全部で25条文が修正及び新設され、2013年以来最大規模の改正となりました。

以下、改正の主なポイントを簡潔に紹介します。

一.建設工事における労働災害防止の強化

一定規模以上の建設工事を計画・設計・施工する場合、事業者は工事の特性に応じて潜在的な危険性を分析し、安全施工のための図式文書、基準及び予算を作成し、施工者に対して予防措置を確実に講じる義務が追加されました。

二.請負業務における安全管理の強化

・事業者が業務を発注する場合、リスクアセスメントの実施及び危険性の周知が義務付けられました。

・事業者が作業場所や設備を貸与する場合に、事前に危険性の周知を行うことが求められます。

・共同作業における防災管理の範囲に、施工現場での機械・設備・器具及び作業員の入場管理を追加しました。各請負業者は、元請事業者に準じて防災措置及び請負管理責任を負います。

・工事発注者が複数の施工者に工事を委託する場合には、そのうち一社を指定し、全体の安全衛生統合管理責任を負わせることが義務付けられました。

三.職場でのパワーハラスメント防止対策整備

・職場でのパワーハラスメントの定義を明確化するとともに、事業者は事業規模に応じて申立て窓口及び関連規程を整備し、公示する義務を負うことが定められました。

・内部申立ての調査・処理体制を強化し、調査担当者の利益相反回避義務を明確化するとともに、申立人に対する支援及び保護措置を提供することが義務付けられました。・雇用者は、ハラスメント申立案件及びその処理結果を、主管機関が指定するウェブサイトに登録することが義務付けられました。

・被申立人が事業所の最高責任者である場合に備え、外部申立て・調査・処理の仕組みが新設されました。労働者は地方主管機関へ申立てを行うことが可能となり、地方主管機関は、専門家や民間団体に調査協力を依頼できると定められています。

四.罰則の引き上げ

雇用者に対し、労働災害防止への積極的な取組みと安全衛生責任の履行を促すため、刑事罰の懲役期間、罰金及び行政罰の金額が引き上げられました。

五.違反事業者に関する公開情報の追加

事業者が職業安全衛生法に違反した場合に公開される情報として、処分日、違反条文、罰金額が追加されました。また、労働災害が発生した場合には、発生日、発生場所、被災者数も公表されます。

これまで、職場のパワーハラスメントは、「労工職業災害保険及保護法」や「性別平等工作法」等の関連法令により間接的に対応されてきましたが、専門的かつ包括的な定義・規制が欠如していました。

しかし、今回の法改正で、パワーハラスメント防止について規定する章が新設され、防止措置が強制力と責任追及を伴う法的レベルへ引き上げられ、労働者の心身の健康を守る強い姿勢が示されました。

法改正後の雇用者の義務

1. パワーハラスメント防止措置の策定
2. パワーハラスメント防止措置及び申立て窓口の公示
3. 内部申立て及び調査・処理体制の強化 (公正な調査、利益相反の回避、保護措置の提供、申立案件の登録制度)
4. ハラスメントの行為者が最高責任者である場合の外部対応制度 (外部申立て権、専門家・民間団体による調査協力等)

今回の改正により、雇用者は新たな義務と責任が課されることになります。雇用者は、労働者の権利保護を適切に実施するとともに、その法的責任を果たし、働きやすい職場環境の構築に努めることが求められます。

※本改正は可決されていますが、正式な施行日は行政院により別途発表される予定です。