~2026年1月1日施行:卒業後2年間の「就労許可不要」制度の実務対応 ~
2026年1月1日施行の「外国籍専門人材招聘及び雇用法」改正により、台湾で学位(副学士以上)を取得した日本人(外国人)留学生の卒業後就労に関する規制が大幅に緩和されました。
本改正は、日本人新卒者の台湾就職を検討する企業にとって、採用実務および人材戦略の両面で重要な制度変更となります。本稿では、人事労務担当者が押さえるべき実務ポイントを整理します。
1.制度の概要 ― 居留延長と就労許可免除
2026年1月1日以降、台湾の大学等で学位(副学士以上)を取得した日本人留学生は、卒業後に1年間の居留延長を申請でき、さらに必要に応じてもう1年延長することが可能となりました(最長合計2年間)。
この延長された居留期間中であり、かつ就労許可免除要件を満たす場合、企業は労働部へのワークパーミット申請を行うことなく、日本人新卒者を直接雇用できます。フルタイム・パートタイムを問わず、産業や職種の制限もありません。
従来は「外国人留学生の台湾就労ポイント制」により70点以上の取得が必要でしたが、本制度により最初の2年間はこの審査を経ることなく就労可能となりました。企業にとっては、実務を通じた評価・育成期間を確保できる制度設計といえます。
2.企業側の労務管理上の義務
就労許可が免除される場合であっても、労働関係法令の適用は台湾人社員と同様です。企業は労働保険および全民健康保険への加入手続きを適正に行う必要があり、その他関連法令に基づく義務も当然に発生します。
また、賃金は『労働基準法』に定める最低賃金以上でなければなりません。2026年1月1日以降の基本給は月額29,500台湾元であり、パートタイムの場合も時給換算でこの基準を下回らないことが求められます。
3.免除期間の確認方法
2026年以降、日本人留学生が卒業後に居留延長を申請すると、新しいARC(居留証)には「持證人不須申請工作許可」との文言および適用期限が明記される予定です。
人事担当者は、就労許可免除の記載およびその有効期限を必ず確認する必要があります。期限を経過した場合は通常の外国人就労制度へ移行することとなるため、必要に応じて移民署へ個別確認を行うことが望まれます。
4.2年経過後の就労継続
免除期間終了後に台湾での就労を継続する場合は、通常の外国人専門人材制度へ移行します。台湾で準学士以上の学位を取得している場合は、学歴・給与・語学力・職務経験等に基づくポイント制(70点以上)による申請が可能です。
ポイント制を利用しない場合は、学歴や職務経験などの要件に加え、月額47,971台湾元以上の給与基準を満たす必要があります。2年後を見据え、職務内容および給与水準を段階的に設計しておくことが重要です。
5.居留延長手続き(学生本人)
居留延長の申請は学生本人が行います。卒業証明書、パスポート、写真等の必要書類を準備し、居留証の有効期限が切れる30日前までに移民署へ申請します。費用は1,000台湾元で、通常約10営業日後に新しいARCが交付されます。
延長は1年ごとの更新制で、最長2年までとなります。企業としては、内定者に対し期限管理の重要性を周知しておくことが望まれます。
6.人事戦略上の意義 ― 日本人新卒現地採用の活用視点
本制度は、日本人新卒者を計画的に育成・活用するための制度基盤と位置づけることができます。実務上は、以下のような戦略的活用が考えられます。
・2年間の若手育成枠として活用(ローテーション配属・OJT・将来のポイント制移行を見据えた設計)
・台湾人社員との橋渡し人材(日台間のコミュニケーション促進・本社調整役)
・将来の拠点中核人材候補の母集団形成(現地理解を備えた長期育成型人材)
単なる新卒採用枠ではなく、「育成設計と連動した戦略的ポジション」として位置づけることが、本制度を最大限に活用する鍵となります。