企業が外国専門人材の就労許可に基づいて外国籍労働者を雇用する場合、当該外国人労働者について労工保険および健康保険への加入が必要であるほか、労働者退職金旧制度に基づき、労働者退職金専用口座へ退職金の積立を行う必要があります。
なお、台湾人労働者と異なる点として、外国専門人材の身分で雇用される外国籍労働者は、就業保険の適用対象ではないため、就業保険への加入は不要です。
外国専門人材が永久居留証もしくは台湾人の配偶者資格を取得した場合、法令により台湾人労働者と同一の退職金制度(新制度)へ加入することが求められます。
この「身分変更」の時点で、退職金の旧制度から新制度への強制的または選択的に転換します。ただし、台湾人の配偶者の身分でない限り、就業保険の加入資格は依然としてありません。
外国専門人材の「身分変更」には、主に「永久居留」と「外国籍配偶者」があり、それぞれの身分変更に関する規定について説明します。
■「永久居留者」取得後の退職金制度の転換規定
労工退休金条例第7条第1項および同法第8条の1項の改正により、2019年5月17日を境目として、永久居留証取得後に旧制度の選択権の有無が区分されています。
1.入社日が2019年5月16日以前の場合
2019年5月16日以前に入社した企業に継続勤務している外国籍専門人材には、永久居留証を取得した後、「旧退職金」制度を継続適用する選択権が付与されます。
・旧制度維持の条件および手続
労働者は、永久居留身分を取得した日から6か月以内に、雇用者に対して書面で「引き続き労働基準法に基づく退職金制度(旧制度退職金)を適用する意思」を明確に表明する必要があります。
・期限内に選択しなかった場合の取扱い
身分変更後6か月以内に書面による選択を行わなかった場合、自動的かつ強制的に労工退休金条例の退職金制度(新制度退職金)が適用され、その後の変更はできません。
2.入社日が2019年5月17日以降の場合
2019年5月17日以降に入社した外国籍労働者には、永久居留者の身分を取得した時点で、強制的に「新退職金」制度が適用されます。
雇用者は、毎月掛金等級の6%を労働者個人の退職金口座へ拠出する手続きを行う必要があります。この場合、「旧退職金」制度を継続適用する選択権は認められていません。
■「外国籍配偶者」身分取得後の退職金制度の転換規定
もう1つの代表的な身分変更として、外国人が台湾人配偶者の居留身分を取得するケースがあります。労工退休金条例第7条第1項および第8条の1項の改正により、2014年1月17日を境目として、旧制度の選択権の有無が区分されています。
1.入社日が2014年1月16日以前の場合
2014年1月17日以前に入社した企業に継続勤務している外国籍専門人材には、外国籍配偶者の身分を取得した後、「旧退職金」制度を継続適用する選択権が付与されます。
・旧制度維持の条件および手続
労働者は、外国籍配偶者身分を取得した日から6か月以内に、雇用者に対して書面で「引き続き労働基準法に基づく退職金制度(旧制度退職金)を適用する意思」を明確に表明する必要があります。
・期限内に選択しなかった場合の取扱い
身分変更後6か月以内に書面による選択を行わなかった場合、自動的かつ強制的に労工退休金条例の退職金制度(新制度退職金)が適用され、その後の変更はできません。
2.入社日が2014年1月17日以降の場合
2014年1月17日以降に入社した企業に継続勤務している外国籍労働者には、外国籍配偶者の身分を取得した時点で、強制的に「新退職金」制度が適用されます。
雇用者は、毎月賃金の6%を労働者個人の退職金口座へ拠出する手続きを行う必要があります。この場合、「旧退職金」制度を継続適用する選択権は認められていません。
■実務上の留意点
1.旧制度における勤続年数の取扱い
・旧制度を継続適用した場合
旧制度の勤続年数は、労働契約終了日まで引き続き累積されます。
・新制度へ強制または選択的に転換した場合
転換前の旧制度勤続年数は、労使双方の合意により清算することも、保留することも可能です。
保留した場合、当該勤続年数は保持され、将来労働者が労働基準法の退職要件を満たして退職を申請した時点で、雇用者は当該期間分の退職金を支給する義務を負います。
なお、労働契約が解雇により終了した場合は、当該勤続年数分に基づく解雇手当を支給する必要があります。
2.雇用者の責任
雇用者は、労働者の身分変更情報を把握し、「旧退職金」制度を継続適用する選択権を有する労働者に対しては、法定期限内に書面での選択を行うよう注意喚起する責任があります。また、労働者が新退職金制度の適用対象となる場合(強制適用または選択転換を含む)、雇用者は直ちに労工保険局へ申告し、新退職金制度に基づく拠出手続きを行う必要があり、違反した場合は処罰の対象となります。