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2026年からの労働制度改正と企業対応

2025-12-22 00:00:00

人事労務コラム

台湾では労働制度の改正が進んでおり、2026年には複数の重要な変更が予定されています。日本人駐在員や在台日系企業にとって見逃せないポイントを整理しました。過去の記事や公告等と併せてご確認ください。

1.育児・家庭介護休暇の柔軟化

2026年1月1日から、育児休業を「日単位」で部分的に取得できる制度が導入されます。従来、子どもが3歳になるまで取得可能な育児休業期間内で「まとめて取得」が一般的でしたが、今後は最大30日を日単位での取得が可能となり、両親あわせて60日まで取得が可能です。さらに、家族の介護を目的とした休暇については「時間単位」で取得でき、出勤時間の調整や臨時的な対応がしやすくなります。

家庭介護休暇は「時間単位」、育児休業は「1日単位」へ ー 2026年から始まる新制度と企業対応 | PASONA

2.最低賃金の引き上げ

2026年1月1日から、台湾の最低賃金が従来の月給28,590元から 29,500元へ、時給が 190元から196元へと引き上げられます。

月給 (2025年) 28,590元  → (2026年) 29,500元 (2025年比+3.18%、+910元)

時給 (2025年)    190元  → (2026年)   196元 (2025年比+3.15%、+6元)

2016年から10年連続の上昇で、2016年の最低賃金は、NTD20,008元/月、NTD120/時であり、10年間で月給の上昇率は47.4%、時給の上昇率は63.3%となりました。

最低賃金上昇の影響を受ける労働者は、社会保険等級掛金等級も調整が必要です。

リンク:https://www.mol.gov.tw/1607/1632/1633/84947/post

3.連休化のための調整出勤日「補班日」は廃止

2025年の下半期に「紀念日及節日實施條例」の改正に伴い、国定休日が5日増加したことは記憶に新しいですが、それに伴い、連休化のための調整出勤日「補班日」は廃止となったため、2026年は「補班日」による平日勤務者の土曜日の調整出勤はありません。

2025年、2026年の勤務カレンダーおよび国定休日の調整方針 | PASONA

4.外国人専門人材・外国人雇用の規制緩和

台湾政府は優秀な外国人人材の誘致を強めており、2025年8月に通過した法改正案「外国人専門人材の誘致及び雇用に関する法律」(中国語:外國專業人才延攬及僱用法)では、世界大学ランキング(教育部が毎年公表している世界頂尖大學名單)上位1,500校卒業者の就業要件緩和や永住許可・社会保障・退職金制度の適用拡大等が盛り込まれています。

これにより、駐在員のみならずその配偶者・家族の就労・滞在制度、また台湾現地で外国人を雇用したい場合等にも影響を受ける可能性があります。

行政院はまだ正式な施行日を発表していませんが、関連する子法や補助措置は現在検討中です。本改正により、企業は今後、優秀なグローバル人材を採用しやすくなり、人材面での課題解決に役立つと考えられます。