ケーススタディ:Andyの挑戦とコミュニケーション改善の4つのステップ
前編では、職場のコミュニケーションがいかに組織の成長に不可欠であるかをお伝えしました。
今回はその続編として、現地社員Andyの具体的なケーススタディを通じて、コミュニケーションの課題をどう乗り越え、どのように改善していくかをご紹介します。
■Andyの挑戦:チームの分裂とコミュニケーションの壁
Andyは会社から期待されるキーパーソンの一人です。
新製品プロジェクトの責任者に任命され、熱意を持って取り組んでいました。
しかし、発売期限が迫る中で、チーム内の意見がまとまらず、協力も得られません。
情報共有もうまくいかず、プロジェクトは思うように進みません。
次第にAndyは、「自分はコミュニケーションが得意なはずだったのに…」と、自信を失い始めます。
■Andyが実践した4つの改善ステップ
そんな状況を打破するために、Andyが見直したのは「話す」「聴く」「見えていないもの」に焦点を当てた4つのステップです。
ステップ①:リソースの棚卸し
まずAndyが取り組んだのは、プロジェクトに関わる関係者の役割整理です。
- 各関係者の役割を明確にする。
- 「最終責任者(Accountable)」「実行者(Responsible)」「相談先(Consult)」「報告先(Inform)」を整理し、ARCIマトリクスを活用する。
ステップ②:リソースの活用
次にAndyは、「情報の質」を高めることに注力しました。
- 重要な情報に絞り、不要なノイズを排除する。
- 会議では「結論から話す」、メールは「要点+背景+期待するアクション」を明確にする。
- メールでは「要点+背景+期待するアクション」を明確に伝える。
ステップ③:共感的なやり取り
ここでAndyは、「まず聴くこと」の重要性を再認識します。
- メンバーの話を最後まで聴く。
- 感情や背景に共感しながらフィードバックする。
- 要約を通じて信頼関係を再構築する。
ステップ④:継続的な調整(ジョハリの窓の活用)
最後にAndyは、自他理解をあらためて見直すことにしました。
活用したのは、心理学モデル「ジョハリの窓」でした。
- 自分が気づいていない「盲点の自己」や、隠している「隠された自己」を減らす。
- 「公開された自己(双方に理解されている自分)」を増やし、心理的安全性を高める。
■Andyのコミュニケーション改善のポイント
- 役割の再認識
個人視点からチーム目標への意識の切り替えを促す。 - 情報伝達の工夫
一方通行を防ぎ、双方向のやり取りを意識する。 - 相手のスタイル理解
相手の特性やスタイルを尊重し、適切に対応する。 - 共感的な傾聴と確認
要約を交えながら、安心感と理解を深める。
■継続的な調整がもたらすチームの成長
「盲点の自己」「隠された自己」を減らし、オープンな対話を増やすことで、チームの心理的安全性が高まります。
こうした継続的なコミュニケーションは、異なる価値観を尊重し合い、個人と組織が成長するための基盤となります。
■コミュニケーション改善の3つの視点
Andyの事例から学べる、改善のための3つの視点を振り返ります。
- リソースの棚卸し
ARCIの原則を活用し、役割と責任を明確にする。
- 強みの活用
自分と相手のコミュニケーションスタイルを理解し、互いに合った伝え方を実践する。
- 共感的なやり取り
感情と理性のバランスをとりながら、相手の感情に寄り添う姿勢を持つ。
■最後に
Andyの悩みは、決して特別なものではありません。
多くの職場では、「話しているのに伝わらない」「聞いているのに理解できない」といった声が聞かれます。
そんなときこそ「対話をやめない」ことが、もっとも大切です。
コミュニケーション力は一朝一夕で身につくものではありません。
日々少しずつ意識を向け、調整を積み重ねることで、あなたの仕事も、チームも、驚くほどスムーズに進むようになります。
多様な価値観が交差する現場で挑み続ける皆さまと、それを支える現地チームの連携が、職場のより良い未来を築く力になることを、心より願っています。
■「賞与・昇給率および福利厚生制度調査」実施中■
パソナ台湾では現在、「賞与・昇給率および福利厚生制度調査」を実施しています。
本調査は制度構築や見直しに活用いただける市場ベンチマーク資料として、例年350社以上のご協力をいただいております。昨年ご回答いただいた企業様は、前年の記録を更新するだけで回答可能です。ぜひご協力を賜れますと幸いです。
回答受付期限:10/15(水)まで
調査ページはこちら:
https://www.hrispasona.com.tw/jp/questionnaire/intro