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責任制(裁量労働制)について

2024-04-08 00:00:00

人事労務トピック

「管理職は責任制なので残業代を払わなくてもよいか」とお問い合わせを受けることがあります。

結論としては、残業代が完全に支給不要となる雇用契約はありません。そして、残業時間について全く制限を受けない雇用契約もありません。

仮に責任制労働者として認められた場合、8時間の通常労働時間を最大10時間に設定する事ができます。これにより910時間目の労働に対して残業代支払い義務がなくなるため、雇用コストを若干抑えることができます。しかし、1112時間目の労働は残業となり、法定以上の割増率を以って残業代支給が必要です。

台湾の責任制に関しては、労働基準法第84-1条に記載があります。

労働基準法第84-1

①中央当局の定めを経て公告される以下の労働者は、労使双方により、労働時間、定例休日、休暇を別途同意し、当地の当局に届け出ることで、第30条、第32条、第36条、第37条、第49条の規定の制限を受けない。

1.監督、管理者又は責任制の専業者。

2.監視性又は間欠性の業務。

3.その他の性質が特殊な業務。

②前項の約束は書面で締結され、本来の基準を参考にして労働者の健康及び福祉を損なってはならない。

 

また、労働基準法施行規則第50条の第1では、監督、管理者、責任制専門職、監視的または断続的な業務に関する定義につき説明があります。

労働基準法施行規則第50条第1項

監督、管理者:雇用者に雇われ、事業の運営および管理業務を担当し、一般労働者の雇用、解雇、労働条件に対する権限を有する上級職員を指す。

責任制専門職:特定の任務を専門的な知識や技術を用いて遂行し、その成功または失敗に責任を負う従事者を指す。

監視的な業務:特定の場所で監視が主体となる業務を指す。

断続的な業務:業務自体が断続的な方法で行われるものを指す。

上記の監督、管理者につき、責任制対象としての条件は月給(ボーナス、配当、年末賞与等は含みません)15万元以上です。経常性賃金が月15万元以上でも、経営管理責任がなく、雇用や解雇、待遇の設定を含む人事権を持たなければ対象にはなりません。

また、認可される特殊な業務の種類・内容は以下に非常に細かく区分されています。

現行勞動基準法第84條之1工作者.pdf (mol.gov.tw)

前述の内容に該当する場合、労使双方は、書面で合意を取り交わします(労働基準法の勤務時間、法定休日、所定休日等)。その後、合意書を現地の労働当局に提出し、承認を得る必要があります。雇用者が報告を怠った場合、合意があっても発効しませんのでご注意ください。