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雇用契約終止時に検討すべき"お金"

2024-02-20 00:00:00

人事労務コラム

雇用契約の締結により開始した労使関係は、最終的に何らかの方法で終止することになります。

以下、雇用契約の終了に際して支給される金銭について紹介します。

(1)予告期間の賃金

 労使のいずれかが雇用契約の終止を告げる場合、懲戒等の場合を除き以下の予告期間が必要です。

 このルールは通常解雇に際しても適用され、仮に予告期間は出勤不要とし自宅待機を命じても、賃金の支給が必要です。

 そのため、これを通称"予告金"と言うこともあります。

 ・勤務3か月以上1年未満の場合  雇用契約終止の10日前に予告

 ・勤務1年以上3年未満の場合  雇用契約終止の20日前に予告

 ・勤務3年以上の場合  雇用契約終止の30日前に予告

(2)清算金

 労働者に付与した既得権が未使用、且つ買取が必要な場合は清算が必要です。

 各社が任意に付与する福利厚生がこのように設定されている例は稀ですが、

 台湾では法定有給休暇がこれに該当するため、注意が必要です。

 雇用契約終止時に未使用の有給休暇がある場合、その日数分の日給相当額を支給します。

(3)解雇金

 通常解雇に際して支給が必要で、対象者が新旧いずれの退職金制度に加入しているかにより計算式が異なります。

定年退職や、旧退職金制度の受給基準に達した労働者を解雇する場合は、後述の退職金を支給します。

 ・新退職金制度の場合 計算式:平均賃金*勤務年数*0.5 計算上限:平均賃金6か月分

 ・旧退職金制度の場合 計算式:平均賃金*勤務年数   計算上限:設定無し

(4)退職金

 定年退職金受給基準に達した労働者の離職に際して支給が必要です。

 対象者が新旧いずれの退職金制度に加入しているかにより対応が異なります。

 ・新退職金制度の場合 積立先(当局)が給付するため、企業は支給不要。

 ・旧退職金制度の場合 積立先が企業の口座であるため、以下計算式で企業が支給。

            勤務15年まで 平均賃金**2

            勤務16年以降 平均賃金*年*1

            計算上限:平均賃金45か月分

(5)失業給付金

 通常解雇された労働者に政府当局が給付するものであり、企業に支給義務はありません。

 そのため、人事担当者が見落とすこともありますが、労働者側には重要な要素として認識されているため、

前述の解雇金を提示して辞職を促す場合等に軽視できない要素となります。

(6)功労金

 文字通りの解釈をするならば、在職中の貢献に対する謝礼ですが、支給も金額も任意です。

 一般的に、雇用契約は締結時よりも終止時の方が難しいと言われており、

 このような任意の項目を潤滑油として用いる例が散見されます。

以上が雇用契約終止時に支給される主な要素です。

例えば、自己都合による辞職の場合は(2)、通常解雇の場合は(1)+(2)+(3)

定年退職の場合は(2)+(4)となり、適宜任意の要素が追加支給される場合があります。