企業経営に必要な人事管理制度は、幾つかの要素に分けて考えることができます。
今回は「人事管理制度導入」の概要を共有します。
別記事に掲載したとおり、人事管理制度は以下の内容で構成されます。
・等級制度・・・職責の軽重に基づく社内の階段作り
・賃金制度・・・各等級の職責に応じた賃金レベルの設定
・評価制度・・・業績の測定、数値化
・評価反映(昇給)
・評価反映(賞与)
・評価反映(昇格)
これらの構築工程は、非公開情報を扱うため関係者を限定して進めます。
また、賃金テーブルや賞与支給基準等は公開を避け、労働者に過度な既得権を保障せず、雇用者が調整権を持てるように管理することが重要です。
その理由は、原則として人事予算は有限であるためです。
経営状況によって支出を調整しなければならない場合、透明化された人事管理制度は足枷になる可能性があります。
実際、弊社がお手伝いした案件では以下のような目的が散見され、いずれも限られた予算内で生産性向上を目指していることが分かります。
・評価に差をつけて、優秀な社員へのリテンションを強化したい。
・必要な人材に合理的な賃金額を提示し、労働力を確保したい。
・青天井の賃金体系を改め、貢献に応じた対価を支給したい。
制度導入時には説明会を実施し、社員に概要を示すのが一般的です。
その際、説明対象者に応じて開示情報を調整することが重要です。
対象者は、以下のように区分されます。
・経営層直属の上級管理職
・管理部門の管理職
・管理部門の非管理職
・管理部門以外の管理職
・管理部門以外の非管理職
また、制度の適切な運用には研修が必要と考えられます。
一例を挙げると、人は"同"類を優遇する傾向があり、"同郷"、"同期"、"同級生"等の評価には人情が介在してしまう場合があります。
そのような要素を除き、合理的な人事評価を行なうため、制度を確実に運用するための研修が有効です。
・評価者研修
対象:管理職(部下を持つ社員)
目的:属人的な評価の不均衡を防止する。
・目標設定研修
対象:全社員
目的:計測可能な目標を設定して定量評価を実現する。
時間と費用をかけて構築する人事管理制度ですので、導入に際しても最適な手法をご検討ください。